2016年は「君の名は。」や「聲の形(こえのかたち)」が空前のヒットで話題になっていますが、あなたは映画がお好きですか?
映画でなくても構いません。お好きな作品があったとして、どの部分ならすぐに思い出せますか?
何度も観た映画や読んだ作品であれば様々なシーンが思い出せるでしょう。
しかし1度きり、しかもそれを見た・聞いた時間が短かったらどうでしょうか。
これは映画や小説、漫画といった作品に限らず、友人との会話・講演といったトークにおいても、後々まで心に残るものとそうでないものがあります。
今回はその、「後々まで相手の心に残す」方法をあなたにお話しします。
これを知り使いこなせれば、あなたの会話は相手の心に残りやすくなり、商談が上手くいく確率も上げやすくなります。
全て平均的では印象に残りづらい
「コンパクトよりインパクト」という話をした事がありますが、話し上手で上手くまとまっていても、メリハリが無いと印象が弱く話を聞いている人の記憶に残りづらいです。
これは文章や映像でも一緒ですね。
映像であればテロップや効果音、笑い声を入れたり、モノクロ画像に一部だけ色を付けたり、
文章であれば文字の色を変えたり、大きさを変えたり、文の途中で画像を挿入したり、
例えばこんなの↓
意図的に何かしらの変化を付ける事で、相手に印象を残しやすくする事が大切です。
ピークエンドの法則について
しかし、変化を付けるのが大事だといって、たくさんインパクトを入れても逆に伝えたかった部分の印象が弱まってしまいます。
また、冒頭だけ頑張って尻すぼみしてしまうとやはり印象に残りづらいです。確かに掴みは大事ですが、それは「まず自分の方に注意を引く」ためのものなので、これだけでは記憶に残すにはやや弱いのです。
ではどこにインパクトを持ってくるか。
それを説明したのが『ピーク・エンドの法則』です。
ピークエンドの法則とは、プロスペクト理論 で有名なダニエル・カーネマンが提唱したヒューリスティクス(経験則:全員が同じではないが、多くの人が近い言動や想像をする)です。
人は自身の経験をその合計ではなく平均で知覚することから、
過去の経験はほぼそのピーク時にどうだったか(例:嬉しかった・悲しかった)、そしてそれがどう終わったかだけで判定される
という法則です。
「終わり良ければ全て良し」にもう「ひと工夫」加えると更に効果的になる
「終わり良ければ全て良し」という言葉がありますが、この終わり(エンド)の前に、もう一つ山場を作る事で話にメリハリが出て、より相手の心に響くものになります。
もし、最初から最後までハッピーしかない恋愛作品がハッピーエンドを迎えても面白みに欠けますよね?
ケンカして別れ話になるとか、恋のライバルとか、事件とか、いったん何かしらの山場(ピーク)があるから最後が引き立つわけです。
余談:「終わり良ければ全て良し」はシェークスピアの作品の1つ
「終わり良ければ全て良し」とは、もともと1603年頃に書かれた、原題:「All’s Well That Ends Well」というシェークスピアの戯曲です。ストーリーに不自然な所がありあまり公演されない様ですね。
立つ鳥跡を濁さず濁せ?
「立つ鳥跡を濁(にご)さず」ということわざがあります。
去り際や引き際は美しくあるべきという意味ですが、さっさと帰ってしまったり話を急ぎ足でまとめてしまうとエンドのインパクトが弱まります。
かといって、インパクトを残す事ばかりに固執し余計な事をしてしまうと悪印象が残ってしまいます(ピークエンドの法則は悪い方にも働きます)。
トークであれば綺麗にまとめる一方で、話し手の仕草や態度、結びの挨拶などで他と違いを作ったり、その話の場で相手が帰るまで見送ることで、好印象のみを残す事ができます。
飲食店などで、店員の方が入口まで見送る所が多いのもこういった効果があるからですね。
(一部のアパレル関係などやりすぎると煩わしく思われてしまう事もありますが)
ピークエンドの法則について:まとめ
山場を作る方法はいろいろあります。
話自体に笑える部分や興味を引く部分を作れれば効果的ですが、「喋るのが得意ではない」という人も多いかと思います。
そういった人達も、
- 身振り手振りといった仕草や動作
- 声色
- 声の強弱
- 話す早さ(苦手意識のある人ほど早口になりがちです)
- あえて意識的に「間」を作る(話の最中に途切れると聞いている人は注目します)
こういった工夫をする事で自分なりのピークエンドを作る事ができます。
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