こんにちは。いつもご覧いただきありがとうございます。
今回は創造に向けた破壊、革新と呼ばれる【ディスラプション】についてご紹介します。
創造に向けた破壊、革新と聞くと、一般的にはイノベーションという言葉が浮かぶかと思いますがどう異なるのでしょうか?
ディスラプションの意味やイノベーションとの違いについて解説していきます。
ディスラプションとは
聞きなれない言葉かもしれませんが、今ビジネス業界において「ディスラプション」という概念が注目されています。
まずディスラプションは英語でdisruptionと書き、次のような意味です。
- (突然起こる)分裂
- (外的要因による)崩壊
若干良くないことが始まるような雰囲気の言葉・単語ですが、ビジネス関連におけるディスラプションとは『創造的破壊』、『創造的革新』と訳され、これが市場そのものにおいても、またモノ(商品やサービス)においても起こっているのです。
ディスラプションとイノベーションの違いとは
「あれ?それってイノベーションって言うんじゃないの?」と知識がある方は思われるかもしれません。
ではイノベーションとディスラプションとの違いについて説明するために、まずはイノベーションについて解説します。
イノベーションの意味
イノベーションは英語でinnovationと書き、新技術の発明、技術的革新という意味です。
定義としては『経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること』とされます。
では、イノベーションについてもう少し詳しく見ていきましょう。
イノベーションには持続的と破壊的の2種類ある
イノベーションには、既に市場に出回り認知され、消費されている製品を改良していく『持続的イノベーション』と、製品が既に持つ価値を壊してしまう可能性はあるものの、それまでには無い価値を創る『破壊的イノベーション』があります。
ディスラプションとは破壊的イノベーションのこと
例えばフィルムカメラ ⇒ デジタルカメラという変化では、製品の変化である持続的イノベーションに留まらず、それまでカメラを使わなかった層にまでカメラを普及させ、結果としてフィルムカメラの市場を席巻したという、破壊的イノベーションも起こしました。
しかし、そのデジカメもカメラ付き携帯が登場すると徐々にその市場を奪われています。
このような、既存の在り方を壊し新たな価値を生む破壊的イノベーションのことをディスラプションと呼びます。
ディスラプションの例
破壊的イノベーション=ディスラプションの例としては以下の様なものが挙げられます。
- カセットテープ ⇒ MD ⇒ CD ⇒ デジタル配信
- ビデオテープ ⇒ DVD ⇒ BD(ブルーレイディスク)
- 固定電話 ⇒ 携帯電話
ディスラプションが注目されている理由
何故イノベーションとは別にディスラプションが注目されているのかと言えば、物から物(=従来製品から新製品)への革新から、物を使った新しいサービスという革新と、その変化の速さにあります。
まず一般的に大企業は、次の理由によりディスラプションを軽視、あるいは手が出しづらいという背景があります。
- 持続的イノベーションで利益を得ている
- 新たな物を作るにはコストや研究、市場調査などが必要
一方、インターネットの普及・発達により情報・費用・人材などのコスト面の障壁が下がったため、小さい企業や個人が新たな価値を生みやすくなったのです。
デジタル・ディスラプションの例
近年、特にデジタル面でのディスラプションが私達にも認知されるほど目立つ様になりました。例えば以下の例が挙げられます。
- デスクトップパソコン ⇒ ノートPC、タブレット端末:場所に囚われない作業環境
- 書面での管理 ⇒ データ管理:場所・容量・必要の情報の取り出しやすさ
- 手紙 ⇒ メール ⇒ LINEなどのSNS:手軽さ・相手に届く速さ・コスト
- 一般通貨 ⇒ 仮想通貨:流通・コストや時間の短縮
また、サービスでは以下のようなものがディスラプションの例として取り上げられます。
- Uber:基準をクリアした一般人の登録者がタクシーより割安で配車するサービス
- Airbnb:民泊サービス
- Lending Club:銀行・政府不介入で借り手と投資家を繋ぐソーシャルレンディング(投資型クラウドファンディング)サービス
イノベーター理論からビッグバンディスラプションへ:市場の変化
インターネットの出現は消費者の行動自体にも変化を起こしました。ネット普及以前には商品が広まるまでの流れは「イノベーター理論」によって説明がなされていました。
イノベーター理論とは
イノベーター理論とは、新商品が市場から消費者に広まるまでの消費者行動と割合を表したものです。
順を追って解説します。
まず、新商品が流行って普及するまでには小規模な市場で
- イノベーター(2.5%の革新者)が購入し
- アーリーアダプター(13.5%の初期採用者)が続きます。
ここまでは他との差別化・変化を欲している層です。
これより商品が広まり世の中に普及するかどうかは、キャズムという溝を越える必要があります。
そこを超えると実際にその商品を使うために購入する
- アーリーマジョリティ(34%の実利主義者 前期追従者)
- レイトマジョリティ(34%の懐疑的・慎重派 後期追従者)
と続き、最後はラガード(16%の保守層)にまで行き渡るとされています。
ビッグバン・ディスラプションとは
ところが現在の商品サイクルは目まぐるしく、一気に流行って一気に消えてしまいます。
これをビッグバン・ディスラプションと言います。
トライアルユーザーが試しに購入し、その情報を拡散・共有すると一気にバーストマジョリティが購入することで広まり、その後は市場から姿を消します。
例としては「キネクト」が持ち出されます。
(商品とはやや違いますが、個人的には「J-popの曲自体」や「流行語大賞になる様なお笑い芸人の一発ネタ」がこの印象ですね)
創造に向けた破壊、革新「ディスラプション」:まとめ
商品を「提供する側」の場合、その価値の変化を読んだり流行に乗るだけに留まらず、「価値・流行を作ること」が今後ますます求められていきます。
また、個人的にはファッション等と同様に物事の流行にはサイクル性もありますので、その時流行らなかった商品であっても仕掛け方・見せ方・広め方で一気に流行るチャンスは大いにあります。
物事にはリソースに限りが有るため、全く新しいものではなく少し形を変えただけのものが戻ってきやすいためです。この様な時代の流行り廃り・変化の詳細や対応策についての書籍もありますので、ご興味が湧いたら読んでみると良いですよ。
参考書籍:ビジネスモデル2025 ・ DIGITAL DISRUPTION
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コメント
[…] 今までの価値観を変える様な発明を『ディスラプション(クリックで解説しているサイトへ飛びます)』と呼ぶそうですが、どんどん機械に取って代わられる時代の流れを感じます。 […]
[…] テクノロジーの発展がすさまじい現代、あらゆる分野においてディスラプションと呼ばれる創造的破壊が非連続的に繰り返されています。 […]
日立金属が発表した炭素結晶の競合モデル(CCSCモデル)というものは破壊的にイノベーションの一つと思われる。
なぜなら、いままでボールベアリングを人類はせっせと作っていたが、それがナノ結晶レベルの自己組織化能力により、等価の機能を有するGIC(グラファイト層間化合物)結晶を生成させる特殊鋼からだ。
これは明日の機械産業の在り方を変えてしまうかもしれない革命と思う。この理論、ダイヤモンド理論ともいうがそれ以上のものだと思う。
◎イノベーションウォッチャーさん
コメントありがとうございます!
自分の知らないジャンルのことを書いていただけるのはありがたいです。
わたしも水素脆化説よりはこちらのほうがエビデンスをしめしているので大いに期待されると思います。応援がすくないので広めています。
「いい」「わるい」のメカニズムがグラファイトとダイヤモンドという真逆の物性を持った同素体でそのメカニズムが語られ、その判定もラマン分光で明瞭な判定ができるからです。
◎某職員さん
コメントありがとうございます。
様々な分野でディスラプションが起こっているのですね。それによって今後の生活にどう影響するのか興味深いですね。
開発者の久保田博士は九大のOBの方のようですね。
◎治金ファンさん
コメントありがとうございます!
私には縁遠い世界ですが、ディスラプションを起こしている環境が日本にもあるというのは感慨深いです。
これは本当に久々の機械工学上における直球勝負の技術革新かも。
機械工学の本質とはなにか?それは統合力であると思う。細かなことを知らなくても何がボトルネックかということを自覚し、時にはチャレンジすることだ。そのキモとなるパラメータの限界はおおむね材料の耐久性にあったりする。
この材料は一つの大きな可能性を示している。機械をなぜ小さくできないのかという原理を明確化した。原因が分かればここに勢力を投入しさらなる高みを求められる。地球環境に対する真水の直球勝負がこれから始まる。
CCSCモデルの研究拠点は姫路にあるダイセルのi-cubeという研究所に移ったようですね。
首席技師となった久保田邦親博士ですね。とにかく今年も面白くなりそうです。
いまのように人工知能がもてはやされていないときに、ニューラルネットワークのソースコードをいただいたのを覚えています。
なんかこのような軽やかに転職する方がいるとは少し憧れてしまいます。
ヘッドハンティングは結構あるものなのですね。
歴史ファンで、転職は幕末の脱藩に近いイメージがあって行く先があればカッコいいかなって感じ持ちます。久保田博士は、鹿児島出身だが、イメージとっしては坂本龍馬に近い。
まあ、脱藩されたかたですからね。CCSC理論最近、重要性がわかりました。これは、不可能と言われ続けてきたガンダム級の巨大ロボットの開発が可能になることを示している歴史的瞬間にたちあっているんだなとと。
SLD-MAGICは日刊工業新聞社の十大新製品賞、日本力(にっぽんブランド)賞を取っていたんですね。
この合金設計には結構憧れる。いまはマテリアルズインフォマティクスとかいっても長すぎて、合金設計を使っちまうよな~。
それって人工知能のニューラルネットワークで熱力学と機械的性質を繫げたものでしたね。私も拝読したことがあります。
高面圧低フリクション理論、博士は相手材のおそらくはプラスチックであることはダイセルへ移籍したことにより推定できるが他に手掛かり知っている人いません?
ポリプラスチックス社のジュラコンらしいですよ。