こんにちは。今回は【コーチング、ティーチング】についてご紹介します。
コーチング・ティーチングとは何か、それぞれの違い、それぞれのやり方を知りたい方に向けた内容です。
状況としては、あなたを上司と仮定して、部下を教育・指示する時のコーチング・ティーチングを、伝言ゲームなどの例も交えて解説します。
上の立場というのは、ただ部下に仕事をさせるだけではなく育てなければなりません。その育て方も伝え方1つで大きく変わってしまうものです。その時の状況に応じてコーチングとティーチングを使い分けることができれば良い成長が期待できます。
コーチングとは
コーチングとは指導を通じて望む結果や成果を引き出すことです。
英語では「coaching」と書き、この「coach」とは「運ぶ」という意味があり、転じて「導く」という意味にもなりました。
高性能で乗り心地の良い馬車を作っていた、ハンガリーにあるコチ(Kocs)という町の名前が由来とされます。この馬車から運ぶこと自体をコチ(コーチ)と言うようになり、さらに目標に向かって運ぶ、つまりゴールに導いてあげることをコーチというようになりました。
ティーチングとは
ティーチングとはある事柄についての方法を教えることです。
英語では「teaching」と書きます。古英語で「明らかにする・指し示す」という意味の「tæcan」が由来とされます。
コーチングとティーチングの違いを学び使い分けることが大切
上記を踏まえてコーチングとティーチングの違いを理解し、状況に応じて使い分けることが部下の成長のためには大切です。
例えば部下が業務で困っている時、何でもかんでもすぐに答えを教えてしまうと、その場の解決で終わってしまうためその部下の成長には繋がりづらいです。
大事なのは「考えさせること」 「自分なりの答えを見つけさせること」です。
もちろん、何の情報や知識も持たない人(=部下)に、いきなり考えさせてもそれはコーチングにはなりません。それはただの放任です。
どこまでヒントや情報を与えて、どこから考えさせるのかを常に考えながら、ティーチングとコーチングを上手く使い分けることがビジネスにおいては大切です。
コーチングは意味ない? 難しい理由は伝言ゲームと同じ?
コーチングとティーチングの違いを説明したところで、伝言ゲームを例に、コーチングの難しさを説明します。
伝言ゲームはご存知ですよね?
あるお題をAさんからBさん、BさんからCさん…と他の人には聞こえない様に回していき、最後の人が正しくお題を言えるかどうかを競うゲームですね。
どうやら世界中にある様で、
- 英語では「Chinese whispers:中国人の囁き」又は 「broken telephone:壊れた電話」、
- フランス語では「téléphone arabe:アラブの電話」
と言うそうです。
さて、これが簡単な例えば「みかん」、「めんたいこ」などの覚えやすい固有名詞であれば間違う事もそんなにはないでしょう。
しかしビジネスにおける指示のように、「〇〇を■■して△△を※※までに◆◆して」などの長文になると、どこかしら間違いが生じやすくなります。
人間には創造力があったり、あまり重要でない記憶は短期記憶として海馬で処理したりするからです。
コーチングのやり方:人間には見たいように見る習性があることを予め理解する
良いコーチングのやり方としては、言いたいことをただ伝えるのではなく、人間には自分に入ってきた情報を自分の都合の良い風に解釈する習性があるということを理解することです。
1つ実験をしましょう。
あなたが普段つけている腕時計を、実物を見ずに絵に描いてみてください。
腕時計を普段つけないのであればペンケースでも財布でも構いません。「ある程度日常的に使っているもの」で「ある程度デザイン性があるもの(黒一色の財布などは簡単すぎるので不可)」であればOKです。
…描けましたでしょうか。
どうです? 思っていた以上に実物と異なっていませんか?
時計であれば色・ボタンの数・ひょっとしたらアナログとデジタルを間違えていたりしているかもしれません。私が昔行った時はそうでした。
この様に特別意識したり訓練をしていない大半の人は、情報を自分なりに少しずつ少しずつ変えてしまう傾向にあるのです。
このことを念頭に置いた上で、導きたい結果や目標に近づくようにヒントを出しながらコーチングしていくのが良い方法です。
ティーチングでは「前に教えた」を言い訳にしない
相手が最初から理解する気がない場合は別として、何かを教える(ティーチングする)時に、「1度教えたから理解しないほうが悪い」というスタンスではあなたの真意は伝わりきりません。
上記で説明したように、人間には見たいように見る習性があります。
1度で伝わらない時は説明の切り口を変えるなど工夫が必要です。
コーチング・ティーチングが上手くいかない時にどう伝えるか
※個人の性格、組織の成熟度による部分もありますが、大多数に当てはまる様お伝えします。
さて、伝言ゲームでの例の様に、コーチングやティーチングでは伝わり方が変わっていった結果、ミスが起こることもあります。
その時、ただ相手のミスをただ詰る(なじる)、追及する、叱責するだけではあなたもミスをした人も、ひいては組織も成長しません。
- 「何故そのミスが起こったか」
- 「チェック体制は」
- 「今後の再発防止に向けた対策は」
など、マネジメントする力が上であるあなたには求められます。
一般的に上の立場ほど給与や権限が多いのはその分の責任を伴うからです。
新入社員はせいぜい自分一人分をまずは背負えれば良いですが上の立場は自分と部下の責任を背負っています。これを自覚せずに「最近の若いやつは使えない」などと言っているのは責任逃れです。自分の役不足を露呈(ろてい)している事になります。
立場が上になるほど注意(ティーチング)の仕方に工夫を
例えばあなたには部下Bがおり、その彼には部下Cがいたとします。
Cさんがミスをした時に、あなたが直接ティーチングしてしまってはいけません。なぜならBさんの立場がなくなってしまうからです。Cさんも「困ったらあなたに頼ろう」となってしまいます。
あなたがすべき事は、「Bさんの指導力を伸ばす様な助言をする事」です。
そうする事でB→C、更に部下がD、Eと増えていった時にもあなたの指示が末端にまで行き届く様になるのです。
コーチングする時はある程度のミスを計算に入れる
ミスをしない人間はいません。そしてミスの経験から学ばなければ成長もしません。
しかし、「自分がやった方が早い」「任せていられない」と部下に上手く仕事を振れない上司もいます。
ひょっとしたら最初は「うちの上司は仕事を押し付けてこないからラッキー」と考える様な能天気な部下でも、その内「自分は信頼されてないのではないか」と不審に思います。
ですので、始めのうちはコーチングの労力やミスのカバー等で結果的に余計な仕事が増え辛くなるかもしれませんが、少しずつ仕事を振っていく方が良いです。
それにより「必要とされている」というやりがいに繋がります。とは言っても、もちろん膨大な量を何のフォローもなく押し付けるのは違いますよ。
部下も上司をコーチングするべき
「指示待ち人間が増えた」とは最近よく耳にしますが、仮にあなたが下の立場で、将来は上に立ちたい、出世したいと思っているならば、上司の長所・短所を把握し信頼を勝ち取り自分が活躍する場を少しでも増やせる様に「アピールする=見せる」べきです。
これはただのおべっかや太鼓持ちという意味ではなく(それも必要な場合もあると思いますが)、「こいつは仕事上、計算できるな」=「信頼を得ている状態」を作るという意味です。
自分の上司がどういった部分を評価する人間なのか、上司の特性を知り自分なりにマネジメントする、つまりコーチングすることがあなたの将来に繋がります。
まとめ
組織における仕事は絶え間ない伝言ゲームの連続です。そこでミスが起きた時に、
- みんなに文句を言う(=自分の働く環境に文句を言う)
- 隣の人に文句を言う(=同僚・先輩・上司に文句を言う)
こんな人達ばかりではゲームが成り立ちません。大事なのは
- 「ミスをできるだけ減らせる環境づくり(組織のフローも人も)」
- 「ミスが起きた時に最小限で食い止められる組織作り」
- 「再発防止に一丸となって取り組める姿勢」
です。風通しの良い環境を作ることが健全な組織の構築に繋がります。
そのためには普段からコーチング・ティーチングの方法を模索することが大切です。
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