こんにちは。今回は【表現を少し変えるだけで売上が上がる!?】という話をファッション用語などいくつかの例を元に解説します。
人間というのは不思議なもので、同じものでも名称が変わるだけで印象が良くも悪くもなります。
実際に名称を変えたことで売上が上がった例をご紹介していきます。
ちょっと言い方を変えるだけで人は目新しさを感じる
中身は全く同じでも、言葉・表現・言い方をちょっと変えるだけで印象が変わり目新しさを感じることがあります。
例えばノームコアとエフォートレスというファッション用語がありますが、ご存知でしょうか?
女性でなければ聞き慣れない言葉だと思いますが、実はこの2つの言葉は、恐らく多くの人が知っている、ある言葉を言い換えただけなのです。
ノームコア(Normcore)とは
ノームコア(Normcocre)とは、ファッション界ではNYを中心に流行り出したキーワードで、下記の2つの言葉を組み合わせた造語で、究極の普通という意味です。
- Norm(=normalの略):標準
- Core:ハードコアなどのコア
流行などを気にせずモノトーンなどシンプルかつ上質なアイテムを組み合わせて、『一見ふつうなんだけど何かオーラがあってかっこいい』、『その人らしい』という生き方、アイデンティティーを見せるファッションのことを言います。
エフォートレス(effortless)とは
エフォートレス(effortless)とは、世界45カ国で刊行されている女性誌の「ELLE」が発信したトレンドワードで、正式にはエフォートレスシック(Effortless Chic)と言います。
”effortless”という「努力を必要としない、軽々とやり遂げる」という意味の単語から来た、肩の力を抜きほどよく崩した大人のカジュアルスタイルという意味です。
本当に「エフォートレス(=努力をしない)」という意味ではなくて、「一見すると努力をしていないように見えるけど、だらしなく見えない自然な着こなしをしている」ことがポイントです。
ノームコアもエフォートレスもカジュアルとほぼ同じ意味だが印象が異なる
ノームコアもエフォートレスも、言ってしまえば「カジュアル」もしくは「ラフ」と言ってしまえば特に目新しさのない服装です。
ただし「生き方」や「スタイル」と言った、服以外の要素を盛り込むことで「自然体」などお洒落な雰囲気や、他との違いを印象づけています。
この様に、ほぼ同じ物事でも表現を少し変えることで違った印象を見た人に与えることができるのです。
資源などのリソースには限りがあるので、元々あったものを言い方を変えることで新しいものとして売り出すのは商売のテクニックとして有効です。
言い方を変えることで売上を上げることに成功した例
では次に、実際に名前を変えたことで売上を増やした例をご紹介します。
コエンザイムQ10の例
コエンザイムQ10(coenzyme Q10)は元々商品名ではなく、人体でも作られる補酵素の一種です。
補酵素Q10、ユビキノン10、ユビデカレノンなどとも呼ばれます。
いくつかある名称から響きがよく印象に残りやすい「コエンザイムQ10」という名前で商品化することにより、体に効きそうなイメージを持たせていますね。
鼻セレブは別の名前から変えたおかげで売上4倍に!?
鼻セレブはご存知かと思いますが、発売当初の名前はモイスチャーティッシュだったことはご存知ですか?
モイスチャー(moisture)とは「水分」や「湿気(しっけ)」という意味です。
つまり、「潤いのあるティッシュ」という名前だったのですが、消費者には伝わらずなかなか売れませんでした。
ところが名前を鼻セレブにしてデザインを変えたことで、なんと約4倍売り上げが増えたそうです。
芸名をキャッチーにすることで売れた芸人
他にも芸人がコンビ名をキャッチーに変えたことで売れたケースもありますね。
例えば「くりぃむしちゅー」は元々「海砂利水魚」でしたし、「さまぁ~ず」は元々「バカルディ」でした。
いずれの例も名前を変えただけではないかも知れませんが、名称の変更がきっかけで周りへの印象にちょっとした変化を起こしたことが成功につながっています。
売上を増やすのに効果的な表現の変更方法とは
ただ名称を変更すれば良いというわけではありません。
売上を増やすのに効果的な表現の変更方法としていくつかのポイントがあります。
わかりやすい、コンパクトな言葉に変更する
今でこそ身近な存在として定着している「お~いお茶」ですが、こちらは発売時の名前は「缶煎茶」でした。
読み方は「かんせんちゃ」です。
しかし「煎茶が読めない!」と問い合わせが発売元の伊藤園に入ったことをきっかけに、どうすれば消費者の心に届くか考えた結果、茶葉のCMで島田正吾さんという俳優さんが使っていたフレーズを持ってきて「お~いお茶」となりました。
意外性・インパクトのある表現を使って変更する
1983年、福岡から東京に野菜を出荷することになった際に売れそうなものは何かを探したところ、東京で取引されていた「あさつき」が福岡の青ネギと味が似ていることがわかりました。
青ネギは「生でよし、煮てよし、薬味によし」と三拍子揃っていることから「博多万能ねぎ」と命名され出荷。この名前が受けて初年度の売上が1億円超え、翌年は15億円にも上がりました。
ちなみに「万能ねぎ」は商標登録されており、万能ねぎと呼べるのはJA筑前あさくらから出荷された「博多万能ねぎ」のみとのことです。
外国語に置き換えることで変更する
シャツの上に着る袖なしの胴着を「チョッキ」と言います。
ポルトガル語の「jaque」が由来とも、「直着(ちょくぎ)」が由来とも言われていて正確な由来は不明ですが日本語です。
こちらも近年のファッション雑誌では「ジレ」というフランス語が使われ、新しいものであるかのような印象を与えようとする意図が見えます。
ちょっと使い方を変えることで売上を上げる!?
言い方、表現とは少し離れますが、名前だけではなくて今ある物の使い方を変えることで新たな価値を生み出すという例もあります。
電卓からゲームを作ったことで有名な任天堂の『枯れた技術の水平思考』はその最たる例ですね。
まとめとおさらい
ではまとめとおさらいです。
- 表現を変えると与える印象も変わる
- 言い方を変えるには以下のような方法がある
- わかりやすい、コンパクトな言葉
- 意外性、インパクトのある表現
- 外国語に置き換える
- 名前だけでなく使い方を既存の方法から変えることで新たな価値が生まれることもある
もし商品自体は素晴らしいのに売れ行きが今一つな場合、その良さが消費者には伝わっていないのかもしれません。
その時は商品の価値が伝わるようなネーミングの変更を考えてみるのも1つの打開策になるかもしれません。
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