人間の心理に働く影響力の第5弾『好意の法則(Liking)』についてご紹介します。
・「理由づけ」
・「返報性の法則」
・「一貫性の法則」
・「社会的証明」
・「権威の法則」
・「希少性の法則」
・「コントラスト効果・比較」
・「影響力それぞれの注意点や対処法」
好意の法則とは
『好意の法則』とは、人は好意を向けられるとその相手の事が嫌いでない限り好意を返したくなるという心理のことです。好意の返報性、好意の互恵性とも言います。
別の記事でご紹介した 影響力の武器【返報性】 の一種です。
と言ってもこれだけだと説明が終わってしまいますし、実は「じゃあ相手は優しくされると好きになるんだ」「好意さえ見せれば物も売れるんだ」と誤解されている人もいるので、より詳しく解説していきます。
好意の法則が人間関係で効果的な理由
単に「商品そのもの」が欲しければ、どんな人から買っても、あるいはどこで買っても同じですが大抵の人はそういう行動は取りません。
以下の様なケースが多いのではないでしょうか。
- 「ちょっと遠いけど好きな店に行く」
- 「少し高くてもあの人から買う」
- 「あっちの方が性能が良いのだろうけどこっちの方が好みだから選ぶ」
多くの人間が上記の様な行動をとる理由は、まず感情で判別して行動し後から論理づけするからです。
だからこそ、ビジネスや人間関係においても相手に好意を持たれる・好かれることが重要になります。
人は自分に馴染み深いものに好意を示す
多くの人は初めて見るものよりも自分に馴染み深いものに好意を示します。
アメリカの選挙で、ある出馬者が名前をその地域に良くある苗字に変更した所、得票数が増えて下馬評で不利だった所から当選した事例があります。
あるいは、最近知り合った人の家に初めて遊びに行った時、自分が普段から使っているものがあったらどうでしょう。
自分が持っているマンガ、ゲーム、あるいは食器や小物類、好きな芸能人のグッズなど、こういったものを見ると親近感が湧いて打ち解けやすくなりますよね。
もし、相手と仲良くなりたい・お客様との信頼関係を築きたいと考える場合は、こうした普段から使っているものや接しているものを会話から探ると早く打ち解けられるかもしれません。
人は自分と似たものに好意を示す
多くの人は対象に対して自分との『類似性』『共通点』を見出すと相手に好意を抱きます。
例えば次のような例があります。
- 好きな色が一緒
- 同い年
- 身長や見た目が似ている
- 共通の趣味がある
- 故郷や出身地が同じ
- 卒業した学校が一緒
会話が弾む人はこの共通点を見つけてそこから話を広げるのが上手いので好かれやすいのです。
人はたくさん接したものに好意を示す:単純接触効果
多くの人は自分と対象が接した回数が多ければ多いほど好印象を抱きやすくなっていきます。
専門用語ではこれらを『単純接触効果』『ザイアンスの法則(又はザイオンス効果)』と言います。
例えば多くの人があまり好ましくは思っていない「ネット広告」ですが、1度や2度より何度も目にするものの方がクリック率が上がるそうです。接する時間よりも回数が多い方が好印象になると言われています。
人は連合の法則により好意を見出す
連合の法則とは、本来は全く異なる2つのものを関連付けてしまう心理のことです。
好感度の高いテレビタレントがCMに起用される理由がこれです。
そのタレントがその商品を本当に使っているかどうかに関わらず、自分の好きなタレントが出ているCMの商品そのものにも好意を持ちます。
また、車の情報誌に無関係な女性が一緒に掲載されるのも連合の法則を使っているからです。
ある調査では「車のみ」と「女性と車」の写真を比較させた所、「無意識に女性と写っている車の方に性能の良さを感じた」人が7割いたという結果が出ています。
かなりの効果ですね。
好意の法則を使う時の注意点
好意の法則を意図して使う場合には以下の様な注意点があります。
好意を抱かない人もいることを予め踏まえる
人間は機械ではありません。好意の法則を駆使したからといって必ずしも相手が好意を抱くとは限りません。
法則以前に、そもそも相手の対象に自分が入っていないこともあります。
また、相手の状況によって後々変化することも十分考えられます。そこはある程度割り切りましょう。
それでもビジネスにおいては興味関心を持っていなかった相手の注意を向けるのに有効な手段と言えます。
過度な好意は嫌悪や敵対につながることもある
類似性、馴染み深いものへの好意の例として「地元チーム愛」があります。
サッカー・野球といったスポーツチームなどへの思い入れですね。
私は札幌生まれ札幌育ちですが、周りには熱心なコンササポーターや日ハムファンがいます。彼らの中には好きすぎて「チーム≒自分」となっている人もいます。
チームが勝っている時は「俺が勝った!」「私のおかげ!」という状態になります。
しかし負けが続いた時は「俺が負けた」「私のせい」とは言いません。
「しっかりしろよ!」「もう応援しない!」と、好意を抱いた対象と切り離して考えます。
この様に好意を抱かせた分、それに応えなければならないという注意・配慮が必要です。
影響力の武器【好意の法則】:まとめ
人が好意を抱く様々なケースを紹介してきましたが、共通するのは共感・シンパシーを相手に持たせたかどうかです。
『物ではなく物語(=イメージ)を売る』というのは他の記事でも度々お話ししていますが、相手の感情を揺さぶる印象付けができれば相手も好意を返してくれます。
以前ツイッターで流行った【恋って言うから愛に来た】というフレーズも行為の法則に置き換えると
「恋(来い)って言うから」=好意を示したから
「愛(会い)に来た」=好意を返しに来た
という風に捉えることができます。誰が考えたのかは知りませんが中々上手い表現ですよね。
・「理由づけ」
・「返報性の法則」
・「一貫性の法則」
・「社会的証明」
・「権威の法則」
・「希少性の法則」
・「コントラスト効果・比較」
・「影響力それぞれの注意点や対処法」
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