こんにちは。今回は「影響力の武器」や「影響力の正体」といった本で紹介されている人間の心理に働く影響力の内、『コントラスト効果』についてご紹介します。
コントラスト効果は2つの対象物の比較による影響のことですが、これを知ると身近な所で使われていることがわかります。
上手く活用できれば仕事にも活かせますし、反対に自分にとって好ましくない勧誘に引っかかりづらくもなります。
コントラスト効果とは
コントラスト効果とは、2番目以降に出されたものが1番目と明らかにかけ離れていた場合、実際の差よりもその差を強く感じてしまうことです。
「コントラストの法則」「コントラストの原理」「対比効果」とも呼ばれます。
英語では「contrast effect」と言います。
例えば次の様なケースでコントラスト効果が働いているのがわかります。
- 辛い物の後に甘い物を食べると、ただ甘い物を食べる時よりも甘く感じる
- Ⅰ:『一般道路を40Kmで走った時』と、Ⅱ:『高速道路をしばらく100Kmで走行した後に一般道に降りた時の40km』ではⅡの方が遅く感じる
- 春のある日が6℃だった時は寒く感じるが、冬の6℃は暖かく感じる:その時期の平均気温に対してかけはなれた温度であることでコントラスト効果が働いている
コントラスト効果が人間に影響する理由:相対評価で判断するから
人間はあるものを評価する時に、絶対評価ではなく相対評価を優先して判断してしまう習性があります。
そのため対象とその周りのものが著しく(いちじるしく)かけ離れている場合に極端な判断をしてしまうことがあるのです。
相対評価に人がどれだけ影響されるかの例
まず有名なだまし絵(錯視)をいくつかご紹介します。
これにより、いかに人の判断力は周りに影響されるかを実感すると思います。
視覚で感じる相対効果
【 例1、上下とも同じ長さです 】
【 例2、AとBは同じ色です 】
↓
どうですか?相対評価に影響されているを実感できたでしょうか。
視覚以外での相対効果の例
人は視覚以外でも同様に他の基準に影響されます。例えば次の様な場合です。
- 元々真面目な人が昨日と変わらず掃除をした
- 不良でろくに学校も来ずケンカなどばかりしていた人が改心しその日突然掃除をした
上記は同じ行為なのにも関わらず、1番目の毎日掃除を続けていた方(昨日と変化が無い方)より、2番目のちょっと行いが良くなった方(ワル⇒改心とギャップがある方)が評価をされやすかったりします。
コントラスト効果をビジネスに応用した例
ではこの相対効果やギャップを作ることにより生まれるコントラスト効果をビジネスに用いた例をご紹介します。
不動産の物件案内で使われるコントラスト効果
一人暮らしをするためアパートを探すとします。
業者の方に案内された1件目は微妙な感じでした。
「確かに希望額の内には収まってはいるけど住むとなると…」という様な物件です。
2件目はさっきよりはましだけど決定打に欠けるので保留しました。
さて3件目です。予算を少しオーバーするけど条件に合っています。
「まあこれくらいなら誤差で済むし、1件目と比べると色々と充実してる」ということでこの物件を選ぶことにしました。
この様に最初に「基準」を提示しておき、それと比較させ決め手とするわけです。
もしかしたらこの記事をご覧の方も似たような体験をしたことがあるかもしれませんね。
スーパーで使われるコントラスト効果
「定価3,000円 が今なら1,980円!」の様に、値引き後の金額だけを表示するのではなく、あえて打消し線を引いて表示することで「これだけ安くなっている」と思わせる方法があります。
超高額の後に高額を提示することによるコントラスト効果
高額商品の後にやや高額な商品を案内することでコントラスト効果を生み出す方法があります。
例えば「1万円の商品」があるとします。
物にもよりますが1万円は大金であり大半の人は買うのに悩みます。
しかし、300万円の車や2,000万円のマイホームを購入する時に、オプションとして1万円の物を勧められたらどうでしょう?
「まあ、あって困るものじゃないしそこまで高くないからいいか」と、最初の高額な料金を基準にしたため、それに比べたら安いとついでに買う人が多いです。
コントラスト効果で良い未来をイメージさせる例
直接的な金額の比較以外にも様々な比較を提示することができます。
例えば次のような方法です。
よほど変な商品でない限り、何かを購入した後は食欲・容姿・健康などの欲求が満たされます。
つまり良い変化が起きるはずですが、多くの人間ははお金を払うことをためらいます。
なぜなら「自分は損をした」と思うことに抵抗があるからです。
そこで、コントラスト効果によって買わないほうが損だと印象づけることで購入を促すのです。
まとめ・おさらい
では今回のまとめとおさらいです。
- コントラスト効果とは、複数のものを比較した時に、2番目以降に出されたものが1番目と明らかにかけ離れていた場合、実際の差よりもその差を強く感じてしまうこと
- この理由は相対評価で様々なことを判断するから
- この効果はビジネスの様々な所で使われている
このコントラスト効果は、上手く使えば相手を気持ちよくすることができる一方で、悪用すれば不要な商品を押し付けたり、もっと酷いと判断力を奪ったりすることもできてしまいます。
コントラスト効果に限らず、影響力の武器で紹介されている法則や効果は『迷っている人の背中を押してあげるためのもの』と理解し、相手の気持ちを考えながら使うとよいでしょう。
・「理由づけ」
・「返報性の法則」
・「コミットメントと一貫性の法則」
・「社会的証明」
・「好意の法則」
・「権威の法則」
・「希少性の法則」
・「それぞれの注意点や対処法」
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