こんにちは。今回は「影響力の武器」や「影響力の正体」といった本でも紹介されている人間の心理に働く影響力の内、コミットメントと一貫性の法則について解説します。
コミットメント(コミット)という言葉は何かと話題の某企業で有名になった言葉ですのでご存知の方も多いかとは思いますが、その意味はご存知ですか?
この言葉の意味や一貫性の法則の内容、および使い方についてわかりやすく解説します。
他の「影響力」の関連記事:
コミットメントおよびコミットとは
まず、コミットメント及びコメットとは次の意味になります。
- コミットメント …委託、委任、公約…ここから派生して「責任」
- コミット …委(ゆだ)ねる、約束する
某CMで有名なフレーズ「結果にコミットする」は「結果(やせること)に対して責任を持って約束します」という意味になりますね。
一貫性の法則とは
一貫性の法則または一貫性の原理とは、「人間は自分の行動・発言・信条など1度表に出したものを同様な形で貫きたい、してしまった物事を覆(くつがえ)したくない」という心理が働くことです。
英語では「Comittment and Consistency」と書きます。
文献の翻訳によって下記の様に若干翻訳が異なりますが言っていることは一緒です。
- コミットメントと一貫性
- 一貫性の原理
- 整合性
一貫性の法則の例
例えば以下の様なケースで一貫性が働いているのがわかります。
- ずっと買っていた漫画が最近ちょっと面白みに欠けてきたけど惰性で新刊が出たら買っている
- 自分が使う道具のメーカー・ブランドは〇〇に決めている
- Sレアを引くまでガチャをやめない
- どんなにカッコイイ(カワイイ)人でもこれをされたら無理
あるいは以前、フット・イン・ザ・ドアの話 で紹介した「最初に小さなイエスを取って段々と要求を大きくしていくことで相手が断りづらくなる」というのもそうです。
個人差はあるものの、人間は様々な心理から自分に対してある程度一貫した状態を保とうとします。
例えば以下のような例があります。
- 何となく自分をコロコロ変えるのは嫌だ
- ブレない=信頼される=社会的評価
- 人に指図されたくない
一貫性の法則の応用
一貫性の法則は使い方次第で良くも悪くも利用できます。ですからこの原理をビジネスに応用する時は、倫理的なことを考えて問題を起こさないよう注意が必要です。
一貫性の法則の応用:良い使い方
コーチが生徒のやる気を引き出し努力を続けさせる様な声掛け・指導
一貫性の法則の応用:悪い使い方
言葉巧みに繰り返し集会所に呼び悪徳宗教などにはまらせる
一貫性の法則を使った自己努力の方法:例
例えば「資格取得のための勉強」や「ダイエット」など、取り組みたいけれど中々気持ちや努力が続かないものがありますよね。そこで、自身に一貫性を働かせてそれを続けさせるための方法をいくつかご紹介します。
例1:紙に書いて目に見える位置に置く・貼る
頭で考えたことは忘れやすいし形も変わりやすいです。人は元々楽をしようとする生き物です。より効率的、より便利な製品が作られ続けることからもそれはわかります。ですので、思いや決意だけでは中々長続きしないものです。
そこで自分に自分のやることを具現化して宣言するわけです。紙に書いて、普段から目に見える位置に置くことで「自分は今これに取り組んでいる」と一貫性を働かせることができます。
例2:周りに宣言する
自分の身の回りの人たちに自分がやろうとすることを宣言します。その時の言い方は「~したい」ではなく「~する」です。
すると、例え心が折れかけそうな時でも「周りに言っちゃったしな…」と負けたくない気持ちが働いたり、あるいは人に「前に言ってたけど続いてる?」などと気にかけられることで、「やっぱりやらなきゃ」と自分を奮い立たせることに繋がります。
まさしく表題の「自分にコミット」する訳です。
私もずっと将来をただ不安視して「今の仕事を辞めたい」とばかり思っていましたが、宣言し「辞める」にしてから実現しました。宣言すると思考も行動も変わります。
一貫性に関連する心理的な効果・テクニック
一貫性の法則には良い・悪い問わず関連する、以下のような心理的効果やテクニックがあります。
サンクコスト効果
サンクコスト効果とは、別名:コンコルド効果、埋没費用効果 と言い、人が何かを行う際に払った費用・労力・時間について考えることで、その後の判断に悪影響を及ぼしてしまう心理のことを言います。
簡単に言うと「もったいない」「何とか元を取ろう」といつまでも思ってしまうことです。
使ってしまったもの自体を取り返すことはできません。
ですので、例えば
- 経験
- 教訓
- そこで得た知識から別の事を始める
など、別の何か新しいことに繋げられれば良いのですが、一貫性が働いてしまいそのこと自体を中々諦めきれないのです。
ローボール・テクニック
ローボールテクニックとは、最初に手が届く(安い・簡単な)条件でお客を釣った後、「実は」と高い条件を提示する手法のことです。
どちらかと言うと悪用される場合が多い交渉術です。本来なら断る様な内容でも、最初の条件で動機づけされたために一貫性が働き購入してしまう手法です。
名前の由来は、キャッチボールで最初は取り易い低めのボールを投げ、段々と高めに投げると高いボールでもキャッチできる様になることから来ています。
低額もしくは無料の勉強会で人を集めてそれっぽいことを話した後で、「実際に使える方法を知りたい人は」と高額塾を案内されるパターンも実際ある様です。
まとめ
それでは今回のまとめです。
- 一貫性の法則とは、表明した自分の言動や気持ち、態度に対して、同じ状態を続けたいという心理が働くこと
- 応用次第では悪用もできてしまう
- サンクコスト効果(コンコルド効果、埋没費用効果)やローボール・テクニックも一貫性の原理と関連するもの
こういった心理とその影響を知り、使う時も使われる時もそれがどういった狙いを持つかを分析する力を身につけることが営業などビジネスにおいても、また普段の生活や恋愛においても必要です。
他の「影響力」の関連記事:
関連カテゴリー:心理テクニック
コメント
[…] あと、これに『コミットメントと一貫性』というテクニックも加えると効果的なのに。。。。。 […]