影響力の武器:権威の法則とは

こんにちは。今回は人間の心理に働く影響力の1つ、『権威の法則』についてご紹介します。

水戸光圀公の銅像・印籠・この紋所が:権威の例

Photo by Peaceful Paradise Life

かぜ薬や洗剤などの化学薬品のCMで、研究者でもない芸能人が白衣を着ている姿を見たことはないでしょうか?

これにはちゃんとした理由があり、それが今回ご紹介する権威の法則と関係があるのです。

権威の法則とは

権威の法則とは、権威がある、もしくはそう思える人や物・表現などに人は従いやすくなってしまうという心理のことです。

英語ではAuthorityと言います。

ケースが権威の法則の例

次のような例があります。

  • 水戸黄門が印籠を出されるとひれ伏してしまう
  • 白衣を着ている人を見ると医者や何らかの研究者や偉い人だと思う
  • 同じことをアドバイスしていてもアマチュアよりプロの意見の方を信用する
  • ジーンズにTシャツの人よりビシっとスーツを着た人の商品の品質を信頼する

このように、多くの人は実際の肩書に関わらず権威を感じた相手に従ってしまう傾向にあります。

権威の法則を応用したビジネス例

ビジネスでは業種・業界を問わず様々な場面においてこの権威の法則が用いられています。

いくつかのパターンをご紹介します。

「着ている服」で権威を表す

歯磨き粉やAGA治療など医療的な内容のCMでは、起用されたタレントが白衣を着ていることが度々あります。

視聴者は当然そのタレントが医師免許や医療の専門知識を持っているわけではないことを知っていますが、それでも売り上げは伸びます

医療系だけでなく、車のタイヤや栄養ドリンクのCMでもそれらしく効果を示すために白衣を着たものがありました。

例として引用していたサントリー公式チャンネル (SUNTORY)のリゲインの動画:【集中実験】Q. 白衣は何人?/ How many people are in lab coats? が削除されてしまいました。面白いCMだったので残念です。

他のケースだと、私は先日『マネーショート』というウォール街での空売りを仕掛けた男たちの映画を観たのですが、その中で「太っていて・ちょっと見た目がズボラ・でも高そうなスーツを着ている」という特徴の男性が登場しました。

その特、注釈や説明が無くても「ああ、ヤリ手の金持ちなんだな」と判断していました。

見た目・外見による印象操作を日々自分も受けているなと感じた例です。

「表現」「肩書き」で権威を表す

・「〇〇流免許皆伝」
・「この道30年のベテラン」
・「内閣府認証」

上記の様な『肩書き』がつくと、実情にかかわらず凄そうという印象を持ちやすいです。

 

肩書きと言えば『モンドセレクション』もそうですね。

実は世界的知名度はそれほどではなくベルギーの民間団体が審査しているもので、1,100ユーロ(約15万円)の審査料を払って項目をクリアした製品はすべて受賞できるシステムです。他の商品と競って金賞・銀賞…となるわけではありません。

Wikipediaによると、全審査対象品のうち5割が日本からの出品で、日本から出品した食品の8割が入賞とのことなので、一定の品質保証にはなるものの、すべての商品で「最高金賞=世界に認められた一級品」かと言うと…という疑問もついてしまいます。

しかし、この肩書きで「きっと凄いに違いない!」と思っている人も多いと思います。

誤解のない様、そして受賞品目の名誉のためにも言いますが、もちろん最高金賞などは立派なことに違いないと思います。
内閣府認証について:一部のNPO団体で、内閣府認証を大々的に掲げている場合がありますが、「設立の際に2つ以上の都道府県に事務所があるので内閣府の窓口に書類を提出しました」という意味で国のお墨付きという意味ではないですし、特別な効力はありません。他の真面目に活動しているNPO法人が多々ある中で誤解を招いていることもあります。

権威の法則にある恐ろしい効果

一方で、権威の法則には恐ろしい効果もあります。

かつてこのような実験が行われました。

  • 教師役と生徒役による電流テスト:ミルグラム実験(アイヒマン実験)
  • 看守役と囚人役による牢獄での生活:スタンフォード実験

上記2つの実験によると、どちらも権威を持った側は尊大に振る舞うようになり、従属側はただただ権力に従う様になっていったそうです。

たった2分間で面接に受かる方法 でご紹介しましたが、人はフリをする期間が多いと本当にその様になることがわかっています。

影響力:『権威の法則』まとめ

人類が国などの権威によって社会を形成している以上、ある程度権威に従うのは普通のことです。それを活用しビジネスとして商品やサービスに権威を加え、より価値がある様に見せるのは戦略として有効だと思います。

しかし、自分に対して使う時は注意が必要です。タイムリーな話題として「経歴詐称」が世間を騒がせています。自身や商品にいくらかの下駄を履かせるのであれば、それに見合った力量・価値も作り上げないと相手を騙すことになってしまいます。

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